2019年度事業計画
1.私たちを取り巻く環境と課題について
1995年1月17日の阪神淡路大震災における災害ボランティアの活動はボランティア元年と言われるほどそれ以降の日本のボランティア活動に大きいインパクトを与えました。それ以後全国の災害被災地に災害ボランティアが駆けつけ被災地支援活動を展開することが当たり前の状況となりました。そしてそれ以来神奈川でも数多くの地域に災害ボランティアネットワークが結成され地域の防災減災活動に取り組み始めました。
2011年3月11日の東日本大震災の発生は日本の防災計画に大きな影響を与え、神奈川県でも「神奈川県地域防災計画」の見直しが行われ、私たちが提案してきた災害ボランティアの取り組みの強化が計画の中に明確に位置づけられました。
そして、その後2011年7月新潟福島豪雨、同8月台風12号風水害(紀伊半島豪雨)、2012年7月九州北部豪雨、2013年10月台風26号伊豆大島土石流、2014年8月豪雨(広島)、同9月御嶽山噴火災害、2015年6月箱根山大涌山噴火、同9月鬼怒川堤防決壊、2016年4月熊本地震、2018年7月西日本豪雨と毎年のように全国各地で災害が発生してきています。熊本地震は東日本大震災で行われた地域防災計画の見直しにも影響しました。
そのような中で私たちは2018年7月西日本豪雨災害においてボランティアバス派遣事業に積極的に取り組みました。
このような災害ボランティアの取り組みの中で東日本震災より続いてきた全国的な災害ボランティアのネットワークの結成に向けた機運が熊本地震の体験をとおして「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」として方向性が出ようとしています。
一方 神奈川県では首都直下型地震の切迫性を受けて2017年3月に「神奈川県地域防災計画(地震災害対策計画)」の改訂が行われ、その中で災害ボランティアの活動の重要性と共に小中学校及び高校における防災教育の必要性が提起されています。
このような状況を受けて神奈川県の災害ボランティアネットワークの要としてあるNPO法人神奈川災害ボランティアネットワーク(以下「KSVネット」と称す)の組織強化と運動の全県的な展開が求められています。急速に拡大している私たちの防災・減災の活動を支えるために優秀な人材の大量確保とその活動のための財源の確保が求められています。
2.私たちの基本的な方向について
①当法人の目的は定款にあるように、平時においては神奈川における災害時に救援活動をするボランティアに対して、県内の地域ボランティアとそのネットワークを介して連携を図り、互いに助け合う市民社会の形成を目指す事業を行うことにより、災害時において、効果的な活動が出来る体制をつくり、また全国各地の災害に遭遇した被災地の救援活動を行うことで、安心で安全な社会の構築に寄与することになっています
具体的にはこの法人は次の特定非営利活動に係る事業を行うことになっています。
(1)地域の減災・防災の強化をめざす市民活動及びボランティア活動を行う団体・個人のネットワーク化の推進
(2)災害時の活動及び情報伝達手段の整備と体制づくり
(3)災害時を想定したシミュレーション訓練、各種講座の開催による人材育成、広報啓発
(4)減災・防災に取り組む市民の相互理解のための交流の場づくり
(5)災害に強い地域社会づくりの研究と情報提供
(6)災害被災地への支援活動
(7)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
②2018年度は西日本豪雨被災地支援ボランティアバス派遣事業に集中して取り組み大きな成果を上げることが出来ました。そして、定款第5条(事業)の7項目に沿って各課題別委員会を設立しそれぞれ連携して事業を担い全役員が自主運営を基本とした委員会方式に取り組み一定の成果を上げることが出来ました。
2019年度においても引き続き委員会方式を採用し強化していきます。
また内閣府より「災害ボランティアやNPO等との連携・地区防災計画推進」のための事業展開が求められています。神奈川におけるこれらの事業の受け皿として私たちKSVネットを軸にして作る必要があります。そして、このような動きに積極的に取り組み、神奈川県における災害ボランティアを取り巻く多くの課題の解決に向けて取り組む必要があります。
③その一方で、災害救援・受援活動を目的とする地域ネット・市域県域ネット・市民ボランティア団体及び個人等に幅広く参加者と賛同者を募り当法人の目的達成のための人材の募集と育成を積極的に推進し、一定のレベルの知識と技能を習得した災害ボランティアを早急に増やしてく必要があります。急速に拡大している私たちの各方面での活動を支えるための人材の育成は緊急な課題になってきています。
④そして全国的な災害の多発化と広がりに対処し、情報収集とネットワークを形成するため全国ネット団体「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」等との連携を追求していく必要があります。
⑤また神奈川大学荏本孝久教授が代表の「かながわ人と智をつなぐ防災・減災ネットワーク」に積極的に参加し大学との連携に努めていきます。
⑥神奈川県災害対策(危機管理担当)に連動した防災に対する理解を深め、受援力強化を図るため、防災担当の各行政・企業・団体等幅広い連携を図っていくように努めていく必要があります。
⑦各事業を確実に遂行し目的達成のため事務局の強化を図る必要があります。各事業は理事・運営委員及び全会員が自主的に参加し自主運営を基本とした委員会方式によって進め、各委員会において責任ある対処をしていくものとします。なお各委員会に項目がない事項は研修会、研究会、講演会等の企画・開催として事務局が提案していくものとします。
⑧各運営委員や理事等が参加し交流する機会を増やすため運営委員会を定期的に開催し、顔の見える関係と情報の共有を図っていくものとします。
3.当面する課題について
①支援センターを核とする情報連絡網の確立と人材育成及び認定制度の検討について
②内閣府 三者連携研修会への取り組みについて
- 県内の防災減災関係団体及び個人等の参加を呼びかける
- 神奈川県だけでなく横浜市、川崎市、相模原市の政令指定都市の参加も工夫して呼びかけていく
- 計画的及び積極的に事業展開していく
③8月31日(土)ビックレスキューかながわ・伊勢原を始めとする県内の防災訓練への情報収集と連絡網をつくる
④事務局を確立し11階支援室の運用及びKSVネット内の連絡網の確立を目指す
4.各委員会からの2019年度活動の提案について
① 広報委員会
◯2019年度の活動計画
・会報の発行
年2回発行予定(第6号 7月、第7号 3月)
各委員会の活動、会員紹介等
・紹介パンフレットのサイズ変更を検討
コスト面を考え企画サイズを検討する
・ハンドブックの増刷
② 講座委員会
- 8月3日(土)10日(土)24日(土)の3日間「災害時ボランティア活動実践トレーニング」としてコミュニティカレッジを開催する。
- 初級、中級の災害ボランティアコーデイネーター養成講座を検討する。
③ 支援室委員会
〇2019年の活動計画
- 4者協定による支援センター内でのKSVネットの役割を明確にするための検討・広報を行い、各団体に必要不可欠な拠点づくりを目指す
- 「ビッグレスキューかながわ」及び各地域ネットワークの防災訓練に合わせてメーリングリスト、SNSを活用した情報訓練を行う
- 上記の訓練を行う人材を確保するためKSVネット独自の情報訓練を行うとともに
- 勉強会・講習会を開催する
④ 防災教育委員会
〇2019年度の活動計画
- ボーイスカウト神奈川連盟と協力してインオを会場とする子ども防災キャラバンに取り組む。
- 横浜市民防災センターの施設を活用した様々な防災減災イベントや訓練を検討し実行に向けて関係者等との協議を開始する。
- 福祉防災など災害に係わる様々な問題についてそれぞれの専門家及び当事者を講師として招いて連続した勉強会を開催する。
⑤ 図上訓練委員会
〇2019年度の活動計画
- 地域の災害ボランティアネットワークと共催して災害時の情報連絡網を確立するための人材育成とそのネットワーク化を目指して人材養成講座を開催していく。
- 支援センターの立ち上げ訓練と連動して情報連絡訓練を積み上げ地域での図上訓練として展開していく。
⑥ 避難者支援委員会
〇2019年度の活動計画
- 横須賀災害ボランティアネットワーク主催の横須賀しゃべり場7月会(料理教室)・10月会(鎌倉歴史散策ツアー)・2月会(いちご狩り交流会)をはじめ、かながわ避難者と共にあゆむ会(11月開催:出張お茶っこ交流会横須賀会場)を中心にバックアップを図りたい。
⑦ インターネット委員会(旧称ホームページ委員会)
〇2019年度の活動計画
- 「インターネット運用規程」を改訂しホームページの運用を活発化していく。
- インターネットの人材育成に取り組む。
⑧ 防災訓練委員会
- 8月31日(土)ビックレスキュー伊勢原に準備の段階から積極的に取り組んでいく。
- 市町村における地域の防災訓練の情報を集め県全体の連携を図っていく。
- 津波対策神奈川県一斉訓練などの企画及び参加を呼びかけて県全体と地域との訓練の
- ネットワーク化を目指していく。
⑨ 事務局委員会
〇2019年度の活動計画
- サポートセンター11階支援室が災害時の支援センターとして確実に機能するためにはそのための設備と人材確保が不可欠である。
- 人材養成と共に機材の確保と使用訓練などをサポートセンター等と協議しながら解決していきたいと考えている。
- そのためにも支援室の整理整頓に率先して取り組む必要がある。
5.勉強会、講演会及び報告会等の開催
2018年度は西日本豪雨災害被災地支援活動に集中したため勉強会、講演会及び報告会等を計画的に展開することが出来なかったことを反省している。県内外の様々な団体及び個人を講師とした交流を兼ねた勉強会及び講演会を年間通して計画する必要がある。神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、内閣府及び大学、防災研究機関などとの連携を目指していく。
6.特定非営利活動に係る事業について
① 地域の減災・防災の強化をめざす市民活動及びボランティア活動を行う団体・個人のネットワーク化の推進事業
- 内容 県内社会福祉協議会ブロックにおける災害図上訓練
- 日時 未定
- 場所 未定
- 従事者人数 未定
- 対象者 社協職員及び災害ボランティア 未定
- 支出額 未定
② 災害時の活動及び情報伝達手段の整備と体制づくり事業
- 内容 ビックレスキューかながわ・伊勢原
- 日時 8月31日(土)
- 場所 伊勢原総合運動公園
- 従事者人数 未定
- 対象者 県内ボランティアネットワーク 未定
- 支出額 未定
③ 災害時を想定したシミュレーション訓練、各種講座の開催による人材育成、広報啓発事業
- 内容 コミュニティカレッジ 講座
- 日時 別紙参照
- 場所 かながわ県民活動サポートセンター及び川崎市その他
- 従事者人数 未定
- 対象者 未定
- 支出額 未定
④ 減災・防災に取り組む市民の相互理解のための交流の場づくり事業
・内容 防災ギャザリング
防災ギャザリングへの取り組みのあり方については担当理事を配置して関係者及び団体と協議を行うものとする
・日時 未定
・場所 神奈川区横浜市市民防災センター及び沢渡公園
・従事者人数 未定
・対象者 小中学生及び市民
・支出額 未定
⑤ 防災に強い地域社会づくりの研究と情報提供事業
・内容 広報紙発行、ホームページ作成
フェィスブック、ツィッター、ラインの活用及びホームページの編集等についてその運用について検討する
・日時 通年
・場所 かながわ県民活動サポートセンター
・従事者人数 20人
・対象者
・支出額 未定
⑥ その他この法人の目的を達成するために必要な事業
- 内容 防災教育、かながわ・よこはま親子防災減災教室
- 日時 未定
- 場所 未定
- 従事者人数 未定
- 対象者 神奈川県内小中高校生 未定
- 支出額 未定
7.8月31日(土)ビックレスキューかながわ・伊勢原会場について
- KSVネットとして「防災訓練委員会」を設置し、これらの訓練に県内の地域災害ボランティアネットワークや各種団体と共に実行委員会を設置し参加型の防災訓練として積極的に参加していくものとする
- これらの訓練参加にあたり「4者協」の積極的な活用を考えSNSを採り入れた新しい訓練参加方式を追求していくものとする
8.地域災害ボランティアネットワーク及び各種団体との連携について
- 2018年度において県内各地域の災害ボランティアネットワークとの連携が十分でなかったことを反省し、適切な全県的なテーマで地域と共同でそのテーマについて学び交流する機会を作っていくものとする
- 県内を6ブロックに分けそのブロック単位での図上訓練、支援センター立ち上げ訓練を行い地域に密着した研修会及び人材育成に取り組む
- テーマとして外国人(国際)、障害者、津波、洪水、受援力、防災訓練などを想定し、その担当団体等と日程等については総会の後で具体的に検討していくものとする
- 各種団体との活動の交流と地域での防災能力の向上を目的にかながわ防災センター及び横浜市民防災センターを会場とした子供向けの防災減災のイベントの開催を検討していくものとする
9.委員会の再編と再募集について
- 各委員会は総会の後に参加する理事及び運営委員の再募集・登録を行い速やかに活動に入っていくこととする
- 必要に応じて新しい委員会の設置については理事会で論議し方向を出すものとする
10.理事会及び委員会等の日程について
2019年度理事会・運営委員会開催予定表
番号 | 開催予定年月日 | 曜日 | 理事会・総会・運営委員会 |
1 | 2019年 4月23日 | 火 | 第1回理事会 |
2 | 5月 7日 | 火 | 第1回拡大運営委員会 |
3 | 5月22日 | 水 | 第2回拡大運営委員会 |
4 | 5月28日 | 火 | 第2回理事会 |
5 | 6月11日 | 火 | 2019年度総会 |
6 | 7月23日 | 火 | 第1回運営委員会 |
7 | 8月27日 | 火 | 第2回運営委員会 |
8 | 9月24日 | 火 | 第3回運営委員会 |
9 | 10月22日 | 火 | 第4回運営委員会 |
10 | 11月26日 | 火 | 第5回運営委員会 |
11 | 12月24日 | 火 | 第3回理事会 |
12 | 2020年 1月28日 | 火 | 第6回運営委員会 |
13 | 2月25日 | 火 | 第7回運営委員会 |
14 | 3月24日 | 火 | 第8回運営委員会 |
15 | 4月21日 | 火 | 2020年度第1回理事会 |
16 | 5月12日 | 火 | 第1回運営委員会 |
17 | 5月19日 | 火 | 第2回運営委員会 |
18 | 5月26日 | 火 | 第2回理事会 |
19 | 6月 9日 | 火 | 2020年度総会 |
1. 理事会及び運営委員会は原則として第4火曜日、午後6時30分開始とする。なお必要に応じて追加する場合がある。
2. 理事会は理事で構成し定款に基づき会の重要事項を審議し決定する。
3. 2019年度運営委員会等の設置について
・運営委員会
運営委員全員が出席することが出来る会議とし事業の連絡と調整を図る。
・拡大運営委員会を廃止する。
4. 課題別委員会の運営については別に定めるものとする
11.その他
①神奈川における災害ボラねぃあネットワークの在り方と組織体制についての検討について
・三役会議、理事会、運営委員会の機能と権限を検討し、事務局、各委員会、各ブロックの地域団体及び各種団体との効率的な連携及び新しい人材の参加と活用について検討していく
②他地域の被災地支援の速やかな対応を図るため、その決定の手順方法を検討する
③優秀で活動的な人材を早急に大量に確保するために防災減災の講座を受講し地域等で活動している人や災害被災地支援活動を経験した人、インターネット等の技術に詳しい人等の活動の場を提供することに努めていくものとする。
2019年6月25日更新